チューリヒで春の訪れを祝うお祭り


スイスの空の玄関口チューリヒで16日に春祭り「セクセロイテン(Sechseläuten)」が開かれました。

祭りのクライマックスには、その名もセクセロイテン広場にて、「ベーグ(Böögg)」という雪だるまのような形をした人形に火が放たれます。ベーグの中は爆竹。かなり激しい音をあげて燃え上がります。
このベーグの燃え尽きる時間によってその年の夏の気象情報が占われ、それが早ければ早いほど夏は美しく過ごしやすく、反対に長ければ、寒くて今ひとつの夏となると予想されています。
この行事には、冬の象徴でもある「雪」(=雪だるま)を燃やすことによって冬を追い払い、待ち望んだ春を迎えるという意味合いが込められているそうです。

ところで、セクセロイテンは毎年、4月の第3週目の日曜日と月曜日に行われ、150年以上も続く伝統のお祭りです。
祭りの発端は中世の時代の「ツンフト(ギルド)」と呼ばれる商工業者たちの間で結成された職業別組合。セクセロイテンとはドイツ語で「セクス(Sechs=数字の6)」と、「ロイテン(Läuten=鐘の音)」の意味を持ちますが、かつて時計の無かった時代に、夏季の労働時間が夕方6時に鳴る教会の鐘の音を合図に仕事を終えていた事から、その名が付けられたそうです。

お祭り初日の日曜日は午後になると、5〜15歳の2000人近くもの子供たちが楽隊を引き連れ、チューリヒの目抜き通りであるバーンホフシュトラッセをスタートし、街の中心部を大行進します。2日目の月曜日には、市内各地のツンフトハウス(ギルド会館)で舞踏会等が開催され、午後には中世時代のコスチュームや、職業別の衣装を身にまとった人々の盛大なパレードが始まり、再び町は賑わいます。
洋服の仕立屋である職人は大きなハサミを手に持ち、お肉屋さんであるらしい人は、数人がかりで本物に見える豚を大きな串に吊るし、ツンフトの長老たちは馬車に乗って通り過ぎて行く。中には馬に乗った騎士のような姿をした人たちもいる。まるで中世の世界!
パレードの沿道には長椅子が並び、その組合に属する人の縁者や家族たちの指定席となります。観光客や一般見物人はその椅子の後ろに立って見物します。
指定席に腰掛けた人たちは各々の家族や親類、知人などがパレードでやってくるのを待ち望み、お目当ての人たちが近づいてくると、花々を渡し抱擁し合います。パレードは単なる行列更新ではなく、実際に町を行進する彼らやその家族たちにとっては代々続く、誇りある伝統の行事でもあるのです。

スイスにはメジャーではないけれど伝統的なお祭りが他にもあります。
お祭りをメインに、少し違う角度からスイス旅行を計画してみるのもおすすめです。







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