Eテレ100分で名著「アルプスの少女ハイジ」のお知らせ


 写真 スイス政府観光局HPから

今日は、番組のお知らせです。皆さまはEテレで放送中の「100分 de 名著」をご覧になったことはありますか?私は毎週録画していて、興味のある本のときだけ見ています。この番組は、古今東西の名著を1回25分×4回で解説してくれる番組です。

今月6月は、スイスの誇る文学「アルプスの少女ハイジ」を取り上げて、早稲田大学教授で独文学翻訳家の松永美穂先生が読み解きます。先生はハンブルク大学に幼子を連れて留学しています。エッセイ集「誤解でございます」は、おすすめです。今は亡きロシア語通訳の米原万里さんもそうですが、通訳翻訳家のエッセイは、読みやすく面白いですよね。

話をハイジに戻しましょう!日本で1974年にアニメ化された「アルプスの少女ハイジ」の原作は、スイスの作家ヨハンナ・シュピーリが1880年に執筆した作品。
原作には、かつて傭兵として殺人も犯したことがあるおじいさんの心の闇、成長したハイジが発する宗教的ともいえる奥深い思想など、アニメ作品では割愛された、文学的な要素がたくさん盛り込まれています。「アルプスの少女ハイジ」の新訳に取り組んできた先生は、単なる「児童文学」ではなく、深い思想的な背景をもった、人生への洞察を読み取ることができる、大人にも読んでほしい作品だといいます。お時間あれば、是非ご覧下さい。

Eテレ 100分で名著「アルプスの少女ハイジ」
月曜2225分~2250分  再放送 水曜530分~555分、12時~1225
100分で名著「アルプスの少女ハイジ」本 少し試し読みできます。
写真 スイス政府観光局から

作者のヨハンナ・シュピーリを簡単にご紹介します。1827年にチューリッヒ湖南の村ヒルツェル(Hirzel)にて医者の父と牧師の娘の母の元に7人兄弟の4番目として誕生。父親は農家出身で医者になり、医者がいなかった村で開業した徳のある人。母親は賛美歌の詩を書く詩人でした。母親の希望で娘達は教育者として生計をたてられるようチューリッヒでフランス語などを学びます。25歳の時、5歳年上の弁護士ベルンハルト・シュピーリと結婚しチューリッヒに新居を構えます。

夫はスイス連邦新聞の編集者も務め、家には詩人ゴットフリート・ケラー (Gottfried Keller)、音楽家リヒャルト・ワーグナー (Richard Wagner)、哲学者のヤーコプ・ブルクハ ルト (Jacob Burckhardt) などが集っていたそうです。多忙で几帳面な夫とは夫婦仲がよくなかったと伝えられています。

チューリッヒの都会に住みながら、生まれ故郷の田舎に憧れ続けていたのかもしれませんね。彼女には1人息子がいましたが、生まれつき病弱で28歳の若さで亡くなっています。都会の子クララが病弱なのは、このことが理由でしょうか。1901年74才、自分の死期を感じた彼女は、個人的な原稿の断片やメモ等をすべて焼き捨てました。どんなに勧められても自伝は書かなかったという彼女の人柄が偲ばれます。

ハイジの物語の随処にキリスト教の教えが散りばめられています。また、医者の娘として、貧しい子供たちに接してきたのでしょう。ハイジに登場する子は貧しかったり、片親だったりしても、皆心の優しい子として描かれていますね。アルプスの景色も相まってハイジを世界的に愛される物語にした理由でしょう。

写真 スイス政府観光局から ハイジが山が燃えているよ!と驚いた夕焼け

スイスエクスプレスでは、マイエンフェルトとバートラガーツに滞在するプランをご提案しています。バートラガーツは高級温泉地としてハイジの叔母のデーテが働いて、フランクフルトからのお金持ちと知り合った場所です。クララが療養に訪れた地として「アルプスの少女ハイジ」で描かれています。シュピーリも1人息子の療養のため訪問しています。ご興味あれば、ご覧下さいね。

次回は、2017年の実写版「ハイジ アルプスの物語」でおんじを演じたスイスの名優ブルーノ・ガンツ氏について書きたいと思います。







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