アイガー北壁と登山者を見守る新旧ミッテルレギ・ヒュッテ


 ヨーロッパで一番標高の高い鉄道駅のユングフラウヨッホ(3454m)。標高2061mのクライネ・シャイデックからわずか35分でアイガーとメンヒの岩盤中を通りぬけ、到着します。今日は、この夏にスイスエクスプレスのお客様も沢山ご乗車されるユングフラウ鉄道と鉄道が通る名峰アイガー(標高3970m)について少し書きたいと思います。

クライネ・シャイデックでユングフラウ鉄道に乗り換え、トンネル前の最初の駅がアイガーグレッチャー(Eiger Gletscher アイガー氷河)駅。アイガーグレッチャー駅からクライネシャイデック間をハイキングしている人もちらほら見かけます。アイガーグレッチャー駅を出発すると、アイガー岩盤をくり貫いたトンネルに入ります。建設期間は1896年から1912年。

クライネ・シャイデックから眺めて、まず左上(東向き)に向かいます。以前は、アイガーヴァンド(Eiger Wand アイガーの壁)駅に数分停車していたので、下車してアイガー北壁の窓から外の景色(グリンデルワルト側)をゆっくり見下ろすことができました。2016年から新型車両が導入され、時間短縮(クライネ・シャイデックからユングフラウヨッホまで50分かかっていた時間が35分に)のため停車しません。

その後、右上(西向き)に進路を変えアイスメーア駅(Eismeer 氷の海)にも停車していましたが、こちらもまた現在は通過。この駅は尾根の南側なので、窓から左上(東上)を眺めると、天気がよければ、
ミッテルレギ・ヒュッテが見えました。今は、グリンデルワルトから夜晴れていれば、アイガー山頂の少し左側にミッテルレギ・ヒュッテの灯りが見えます。今年は工事中のため、7月1日からオープン。スイスのご旅行には、双眼鏡を持っていかれることをお勧めします。高低差1800mもあるアイガー北壁は、夏は落石が多く登る人は殆どいないそうなので、登山者は見つけられないと思いますが、数々のドラマを生んだアイガー北壁の岩肌を、是非双眼鏡で眺めてみてください。

写真 Grindelwald Infoから 2001年からの新しいミッテルレギ・ヒュッテ


夜、グリンデルワルトから見たアイガー北壁。中腹の明かりは、現在は停車しないアイガーヴァント駅の窓からの灯り、稜線の灯りはミッテルレギヒュッテでしょう。

アイガー登頂には様々なルートがありますが、一般的なルートはアイスメーア駅下車後、ミッテルレギ・ヒュッテに宿泊し、星明りの中に出発し、切り立つ稜線(ナイフリッジ)を登るそうです。このミッテルレギ・ヒュッテは、日本人登山家の槇有恒氏からの寄付金1万フランを元に、グリンデルワルト・ガイド連盟が1924年に建てた山小屋です(建設費の総額は1万6千フラン)。槇有恒氏は、小屋の建つ3年前の1921年9月10日にグリンデルワルトの3人の登山ガイドとともに、ミッテルレギ稜(東山稜)からのアイガー初登攀に成功した人物です。ヒュッテ内にもその栄光を讃えたプレートが壁に飾られています。

16床で始まったヒュッテは現在は40床。今年、山小屋を守るのは、カイ・レオニー・チャンさんという綺麗な女性。といっても、稜線の状態などはカリスマの彼女が全て教えますとヒュッテのHP(独語のみ)で紹介されているので、熟練したアルピニストなのでしょう。1995年から女性が山小屋の主という伝統があるそうです。

現在のヒュッテは2001年に建て替えられた新しいもの。槇氏の寄付金で作られたオリジナルのヒュッテは、アイガーグレッチャー駅とクライネシャイデック間のユングフラウ・アイガー・ウォーク(ハイキングコース上)にあります。こちらのコースは、ユングフラウ鉄道の撮影スポットにもなっています。鉄道写真がお好きであれば、おすすめいたします。全長2.5キロ、ゆっくり歩いて1時間半です。

1924年から2001年まで活躍していた元のミッテルレギ・ヒュッテ(現在はアイガー・グレッチャー駅とクライネシャイデック間に移築されています)

アイガーグレッチャー(アイガー氷河)はアイガー(左側、雲に隠れています)とメンヒの間を流れています。写真はアイガーグレッチャー駅近くから。

アイガー登山の歴史にご興味あれば、こちらもどうぞ。
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昨年、何気に見ていたテレビ朝日の番組「激レアさんを連れてきた」に医師で登山家の今井道子さんと、カモシカスポーツ創業者の夫・高橋和之さんが出演されていてびっくりしました。お嬢様だった今井さんと、お金に困っていてもガッツのある高橋さんの話がとっても面白かったです。

今井通子さんは3大北壁を女性として始めて成功させた人。著書がありますので、お時間があれば是非どうぞ。

私の北壁(マッターホルン)1968 朝日新聞社出版局
続 私の北壁(アイガー、グラン・ジョラス)1972 同上
人間の記録145 今井通子 私の北壁(マッターホルン)2002 日本図書センター


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