1929年、ベルギーの首都ブリュッセルで生まれたオードリーは、幼少期にオランダで戦争を経験しました。ドイツに占領されたオランダでは食べ物に困り、栄養失調から重度の貧血になったそうです。おじさんがナチスのレジスタンス活動をしたことで投獄され、隠れるように暮らしていたといいます。戦後、バレーを学ぶために渡英。女優として世界へ羽ばたきました。30代の半ばになると家族との時間を大切にするため映画出演を控え、代わりにユニセフの活動を行うようになりました。幼い頃の辛い経験が、最貧国の子供たちを助ける活動に彼女を奮い立たせたのでしょう。
スイスのモルジュ(Morges)にある小さな村トロシュナ(Tolochenaz)に居を構えたのは1965年、36歳の時です。彼女は2度結婚(1954年~68年俳優メル・ファーラー)、(1969年~82年イタリア人医師ドッティ)しましたが、あるインタビューで、(籍は入れなった)オランダの俳優ロバート・フォルダースと暮らした(晩年の十数年の)日々が一番素晴らしかったと答えています。1992年秋にソマリアから戻った彼女は腹痛に悩むようになります。ロサンゼルスの病院で精密検査を受けて、余命いくばくもないことを知った友人でデザイナーのジバンシーはプライベートジェットを手配しロサンゼルスからジュネーブまで彼女を運んだそうです。最後は、トロシュナの自宅で家族に見守られながら亡くなりました。享年63歳。自分の才能を発揮し、世界中の人々から愛され、苦しむ子供たちを愛し行動した女性でした。彼女のお墓は、トロシュナの共同墓地に訪れることが出来ます。また、彼女の住んでいた家は現在は他の方が所有しているので外観だけ見ることができます。

トロシュナへはモルジュ駅前からバス702番で12分ほどで着きます。歩いても20~30分ほど。モルジュにあるボル財団では、オードリーの写真パネルや映画の衣装など簡素ですが常設展示されています。
モルジュは13世紀からサヴォア家が築いた古城や街並が残り、湖畔には花々が咲く美しい町。4月〜5月頃レマン湖畔のアンデパンダンス公園に、300種類約12万本のチューリップが咲き誇る花祭りが開催されます。1971年に始まり、春の定番となった人気のイベントです。息をのむほど美しいので、来年の春のご旅行にいかがでしょうか?今年2018年は3月31日~5月13日でした。旧市街で水曜土曜に開催されている朝市もお勧めです。オードリーもロブ(最後のパートナー)と一緒によく訪れていたそうです。レマン湖畔や旧市街にも美味しいレストランやカフェが並んでいますし、湖畔からの美しいモンブランの眺めでも有名です。是非一度訪れてみて下さい。
